日  程 2006年7月30日
地  域 兵庫岳連主催 セルフレスキュー研修会
メンバー 一本松(講師&記録)

平成18年7月30日神戸登山研修所で開催されたセルフレスキュー研修会は、岩場でのセルフレスキューのトレーニングと、最近沢登りでの遭難事故が多いことから、沢でのチームレスキューをメインに行った。

まず午前中、人工岩場で仮固定から自己脱出、3分の1システムでの引き上げ練習を行う。
半マストや日常よく使用しているATCやルベルソ等のビレイデバイスで事故者を止めたあと、3分の1システムをセットし引き上げを行う。その際、固定されているビレイを解除しなければならない。固定された半マストやATCを解除することはたやすいが、ルベルソでの解除は簡単にはいかない。解除のためのシステムを作り全力で試すがうまく解除しない。ルベルソを解除するためには一旦かかっている加重を抜かなければならない。そのために別に用意したスリングにオートブロック等を駆使して3分の1システムを作り加重を抜く作業を行った。そしてルベルソでの固定を解除し事故者を引き上げる作業に入った。ルベルソの代わりに新しく発売されたATCガイドでの解除を試してみる。かなりの力を要したが何とか解除できた。しかし、条件によっては、ルベルソ同様、別に加重を抜くためのシステムを作る必要があるのではという印象だった。

なお、事故者を引き上げるための3分の1システムを作る際、カラビナとオートブロックによるシステムはかなり摩擦抵抗があり、体重差があると引き上げが困難になる。そのときカラビナに代わりプーリーを、オートブロックに代わりタイブロックやユマールを使用すると楽に引き上げることができた。

次にカウンターラッペル方式で岩場からの引き降ろし練習を行った。

午後からは沢での事故を想定し、搬出訓練を行った。人工岩場を滝に見立て、落ち口から滝下まで斜めにフィックスを張り事故者をシート梱包し、斜めに降ろすという訓練内容である。梱包したシートの4箇所及び事故者のハーネスからスリングを出しフィックスロープにセット。落ち口から一本、別の上部支点からもう一本ビレーをとりながらロワーダウンする。滝下からは別のロープで引っ張る。事故者をフィックスロープにセットしたあとに、3分の1システムを使いロープを強く張る。

無事滝を下ろしたあと、事故者をシート梱包のまま、樹林帯を一般登山道までできるだけはやく下ろすロープワークの練習を行った。

今回の研修会は以前に何回か参加した経験のある方が多くスムーズに進行するかに思われたが、練習を開始すると忘れている事がたくさん出てきて、システムを思い出すのにかなり試行錯誤をしている様子だった。実際の遭難現場で慌てることなくレスキュー活動を行うためには、同じ課題であっても何回も反復練習しておかなければならないと云う教訓を得て夕方研修会を終了した。

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